「パートナーの浮気相手に慰謝料を請求してやりたい!」
そう意気込んで探偵に証拠を撮ってもらったのに、いざ浮気相手に慰謝料請求したら次のように言われるかもしれません。
「既婚者だなんて聞いていない。知らなかったので慰謝料も払いたくない」
さて、こう言われたら泣き寝入りするしかないのでしょうか?
今回は、「既婚者とは知らなかった」という主張と慰謝料支払い義務の発生について、具体例を交えて解説していきます。
知っておきたい不倫の慰謝料請求に必要な条件
慰謝料請求の大前提として、浮気相手に「故意または過失」があることが1つの条件になります。
具体的に言うと、既婚者と知りながら関係を持ったのであれば「故意」ですし、注意不足で独身だと勘違いしていたのであれば「過失」ということです。
したがって、浮気相手に「既婚者とは知らなかった」ことについて過失がないのであれば、相手は慰謝料の支払い義務を負うことはありません。
ちなみに、不倫の慰謝料請求の法的根拠となっているのは、民法709条「不法行為による損害賠償」に関する条文です。
「既婚者とは知らなかった」その言い訳は通じる?
本当に既婚者だと知らなかったのか(故意はなかったのか)、既婚者かもしれないと思わなかったのか(過失はなかったのか)、という観点で、出会いや交際状況に注目してみましょう。
ポイント1|出会った場所
2人の出会いの場所がカギとなります。
職場での出会いだとしたら、仲を深めていく過程で日常会話があるはずです。
そうすると、結婚しているとか交際相手がいるだとか、親密な関係になる前に男女関係の話題は出ているでしょう。
また、共通の知り合いもいる環境なので、既婚者かどうかの情報は入りやすいです。
ですから、職場で出会っているにもかかわらず「既婚者とは知らなかった」という言い訳には無理があります。
一方、出会いの場が婚活パーティーやマッチングアプリだったとしたら、本人が「独身です」と言うのなら信じるしかないでしょう。
共通の知り合いがいないため、誰かに確認することもできません。
婚活やアプリでの出会いなら、「既婚者だとは思わなかった」と主張するのも理解できます。
実際、既婚者でありながらアプリなどの出会いツールで活動している男性がいますが、婚姻情報はもちろん、自宅住所や職場なども嘘つき放題です。
余談ですが、「付き合っている彼氏が既婚かどうか調べてもらえますか?」という相談から調査を行うことがありますが、このようなご依頼のほとんどが「既婚者でした」という結末を迎えています。
ポイント2|独身と思わせる状況
独身と思っても仕方のない状況であれば、「既婚者とは知らなかった」という主張に説得力が増します。
例えば、仕事や荷物を取りに帰宅する以外ずっと一緒にいるような半同棲状態であれば、独身だと思ってしまっても無理はありません。
他には、実家に招かれる、親に紹介される、親友に紹介されるなどがあれば、ふつうは結婚を見据えた真剣交際だと思うでしょう。
既婚者がこんなことするとは夢にも思いませんよね。
一方で、交際相手の家なのに絶対に泊まっていかない、宿泊を伴う旅行を避ける、夜は連絡が取りづらいなど、「もしかして結婚してるのかも…?」と推測できるようなことがあれば、「過失=落ち度」と見なされ、責任が発生する可能性があります。
本当に「既婚者と知らなかった」と証明できるか
本当に既婚だと知らなかった場合、故意も過失もないと証明できるような証拠がなければ、完全に責任を免れるのは厳しいです。
LINEやメールなどのテキスト上に、独身と思っても仕方のないような内容のやりとりが残されているのであれば証明ができるかもしれません。
また、SNS上で独身者としてプロフィールを公開していたり、共通の友人も独身と認識していたりする場合なども考えられます。
しかし、上記はあくまで一例で、最終的な判断は裁判所に委ねられます。
「知らなかった」だけではなく、それが本当に正当な理由として認められるかどうかがポイントです。
まとめ
浮気相手が「既婚者とは知らなかった」と主張しても、それだけで慰謝料の支払い義務を免れるわけではありません。
「独身だと思っても仕方がない」という具体的な証拠が必要です。
浮気相手が慰謝料の支払いに応じるかどうか心配だったり、自分に故意や過失はないので支払わないと主張してお困りだったりするのであれば、まずは専門家にアドバイスを求めることをおすすめします。
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