「慰謝料、分割で払わせてください」
そんなふうに言われたら、不安になりますよね。
「途中で支払いが止まるんじゃないか?」
「連絡が取れなくなったらどうしよう……」
そんな心配を抱えているあなたへ。
分割でもきっちり慰謝料を受け取るために、知っておくべきポイントをお伝えします。
目次
分割払いって受け入れていいの?
慰謝料は一括支払いが基本です。
一度で済ませることで、相手と関わり続けなくて済む、未払いのリスクが減るなどのメリットがあります。
ただし、相手に支払い能力がない場合や、すぐにまとまった金額を用意できないという事情があると、「分割で払わせてほしい」と言われることも。
その場合は、「受け入れるかどうか」ではなく、「どうすれば逃げ得を防げるか」に視点を切り替えることが大切です。
分割を認めるなら公正証書を必ず作ること
分割払いを認める場合、口約束や書面だけの取り決めでは不十分です。
必ず「公正証書」を作成しておきましょう。
公正証書とは、公証役場で作成される公文書で、法的効力を持つもの。
とくに重要なのが、「強制執行認諾文言」を記載することです。
これがあることで、支払いが滞った際には裁判を経ることなく、直ちに差し押さえなどの強制執行手続きが可能になるのです。
未払いを防ぐ!公正証書に書くべき内容
では、慰謝料請求時に作成する公正証書には、どんなことを記載したら良いのでしょうか?
重要な3つのことをお伝えします。
「遅延損害金」を取り決める
万が一、支払いが遅れた場合に備えて、遅延損害金(遅延利息)をあらかじめ取り決めておきましょう。
支払わない限り遅延損害金はどんどん膨れ上がっていくことになるので、相手にとってはプレッシャーになります。
ちなみに、民法で定められている法定利率は、2025年現在で年3%(ただし民法改正に伴い、今後3年ごとに見直しになります)。
しかし、遅延損害金の利率は話し合いで決めることも可能です。
滞納したら残額は一括払いにさせる
何度も支払いが滞っているのに「残りも分割で大丈夫ですよ」と言い続けていたら、いつまでも完済されません。
あらかじめ、「滞納した場合は、残額を一括で支払うものとする」といった条項を公正証書に盛り込んでおきましょう。
この一文があるかどうかで、回収のしやすさが大きく変わってきます。
連絡先が変わったら必ず知らせる
分割払いの場合、支払いが終わるまでの間に相手が連絡先を変え、音信不通になることも考えられます。
そんな事態を防ぐために、「住所・電話番号・勤務先の変更があった場合は、〇日以内に通知すること」といった取り決めをしておきましょう。
これも公正証書に盛り込んでおけば、後から「聞いてない」と言い逃れされる心配がありません。
分割でも逃がさない!鉄壁ルールまとめ
慰謝料を分割で受け取る場合、以下のポイントを押さえておくことで、リスクを最小限に抑えることができます。
- 必ず公正証書を作成する(強制執行認諾文言を記載)
- 遅延損害金の取り決めをする
- 滞納時は一括払いとする
- 連絡先変更の通知義務を課す
これらをしっかり整えておけば、たとえ分割払いになっても「逃げられる」心配はぐっと減ります。
慰謝料をしっかり受け取るためには、「相手を信じる」のではなく「逃げられない仕組み」を作ることが大切です。
分割払いを承諾するのであれば、公正証書を作成し、必要な取り決めをすべて書面に残しておきましょう。
最後まで払わせる、それがあなたの権利です。